「どうやったら嫌な思いをせず転職活動すればいいのか分からない」と悩んでばかりで行動できず二の足を踏む50代は、驚くほど多いですね。
転職は人生の一大イベント。
その一歩を踏み出すために、誰もが失敗することなく傷つくことなく前に進みたいと願うのは人間の本能でしょうか?
しかし50代ともなれば、痛みなしに前へ進むことができない現実が待っています。
皆さんも35歳限界説を言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
2007年に、求人時の年齢制限を原則禁止とする雇用対策法案が施行されるまで、35歳位までの求人募集が大半を占めていて、35歳を過ぎると求人が一気に減少したことから発祥した言葉です。
50代の転職が失敗する理由は年齢が原因だったが好転中
この時代の法律改正により、建前として年齢が原因で応募がきでいないケースは少なくなりましたが、それでも依然として35歳までの応募者を優先して採用する傾向は続いています。
転職市場において、35歳・40代・45歳・50代の5年ごとに大きな変化が起きています。
「35歳限界説」が示すとおり、35歳は大きな分岐点で転職することで年収が上昇する割合が極端に低下し始めてしまします。
この転職市場の変化は、景気の変動はもちろんのこと、業界や職種により微妙に異なるため注意が必要です。
また、35歳以降の転職者が採用されるためには、次のマイナス要因があることを常に自覚して転職活動に臨まなくてはなりません。
高い給与
20代や30代前半の応募者は、実務経験が乏しく即戦力とはなりませんが、自社で教育し経験を積ませることで戦力となります。
年功序列型の日本社会では、年収も35歳以降の転職者よりも安い賃金で雇用できます。
それ故、どれだけ仕事ができる40代であっても、実力を把握できない段階で慎重になる傾向にあります。
保守的な態度
35歳以降の転職者は、新しい環境に馴染んで意欲的に溶け込む姿勢が弱いとされています。
日本社会において、40代は保守的で柔軟な発想に乏しいイメージは拭い去ることが難しい。
人間関係 35歳以降の転職者でも入社すれば、ただの新入社員。
上司が転職者よりも若いケースも珍しくありません。
このような状況において転職者自身何ら問題がないと考えても、受け入れ側にとって「扱いにくそう」と判断されれば、採用に至ることは難しいでしょう。
50代転職で失敗する前に配置転換を申し出る勇気も必要
リーマンショック以降、企業は即戦力で使える40代の採用を加速させましたが波に乗ることができず、数年の有効求人倍率の上昇ぶりを見て、ようやく転職者側の転職意欲も高まり始めました。
このチャンスに便乗して、転職を検討している40代にとって良い兆しが見え始めています。
しかしながら、本来ならば転職する予定もない40代がこの求人バブルに麻痺して転職に踏み切るのは、非常に危険な行為と言えます。
一貫したキャリアを積み上げることは、確かに大切なことですが、残念ながら転職は、企業側にカードを切る権利があります。
「年齢」と「転職回数」にこだわる日本の企業風土がある限り、それを転職者側が覆すことはほぼ不可能。
結果的に、35歳を超えてから更にキャリアを積み上げたい理由で転職する行為は、それ相応のリスクが付いてくることを理解しておいてください。
だからこそ、今回の転職は自分にとって本当に必要なものかじっくり考えると共に、人事部に申し出て配置転換をリクエストする選択肢も視野に入れておくべきでしょう。
50代の転職で失敗する人と成功する人の違いは自己主張
残念なことに、転職市場において「採用される人」と「採用されない人」の違いは歴然です。
これは仕事ができるできない、転職回数が多い少ないこととは、少し観点がズレていますので注意してください。
採用され続ける人の特徴を3つあげておきます。
POINT1:企業側に立ち書類や面接に対応できる人
これまでの経験を積極的にアピールするだけでなく、企業が求める人物像について深く考えることができる人。
空気を読めず自己主張ばかりな傾向がある人が、採用されることはありません。
採用される人は、求められている人材を確認しながら、自分の職務経験の強みをフレキシブルに変化させ、アピール。
自分に有利なアピールをするばかりではなく、企業の立場になって回答するから好意を持たれます。
POINT2:転職市場価値を知っている人
基本的に、40代の転職は、短期間で即戦力となる人材であることが前提、原則としてこれまでの経験の中の強みとして、自分の市場価値を分析するべきです。
市場価値を知る方法は、転職サイトやハローワークで実際の応募状況を確認してみるのが手っ取り早い方法ですね。
自分が希望する希望職種の求人要項を見ることで、給与や労働条件をチェックできます。
前職と比べ提示されている年収が低い場合、今より高い年収を希望しても採用される可能性は低いでしょうね。
POINT3:前職までに築いたプライドを捨られる人
転職は新たな人生を切り開く第一歩です。
前職までに積み上げてきた実績が評価されて、自慢できる年収やポジションであったかもしれません。
しかし転職では、あなたがまだ貢献していない企業に入社し実績を積み上げていかねば評価されません。
「前職で私は本部長だった」と威張る転職者が多いですが、中途入社すればただの新入社員。
残念ながら、肩書など会社を辞めれば大した意味などありません。
50代転職で失敗しない人の特徴は多くの企業と接点あり
会社を退職していざ転職活動を開始すると、「応募条件は満たしているのに書類選考が通過できない」とか「そもそも応募できる求人がない」40代の悲痛な叫びが聞こえていきます。
これらの背景には採用時に年齢を過剰なほど重視する、日本特有の雇用体制が邪魔をしています。
逆に、仕事を探す人間として、どのように考えればその障害を取り除けるのか考えてみましょう。
POINT1:応募条件はあくまで最低条件
求人情報に書かれている「職歴」「業務経験」「資格」は、採用側からすると必要最低限のハードルでしかありません。
それ故に、決してその条件に当てはまるからといって、書類選考を通過できる訳ではないことを覚えておいてください。
POINT2:求人にはライバルが必ずいる
1件の求人に対して、少なくとも30人以上のライバルが存在する事実を理解しておきましょう。
ライバル数は業界や職種によって大きく異なってきますが、基本的にプレイヤーはライバルが少なく、マネージャーであればライバルが多くなる傾向にあります。
また、一般的に見て正社員に限定されがちな、総務・人事・経理・広報などは募集が集中する傾向にあります。
私自身、人材銀行(2017年3月末で閉鎖)経由で応募した総務人事職のマネージャー職には、「既に100名以上の応募がありますが、本当に応募しますか?」と言われて驚いたことがあります。
あまり表には出ませんが、それぐらい人気で狭き門です。
POINT3:これまでの経験にとらわれ過ぎない
日本の転職市場には、同業同種での移動が7割を超えている特徴があります。応募する職種での経験がないに越したことがありません。
しかし、採用側から見た場合、過去の経験は同じ業界や職種に限定しているわけではありません。
同僚や上司と協力していける姿勢、職場の問題を解決することができる解決力、何歳になっても向上心をもって学び続けられる意欲を評価されます。
ですから、最初から金属メーカーの総務職などと絞り込んで転職活動を行うのではなく、求人を浅く広くサーチし、少しでも多く接点を持つことで、この先20数年自分が生き生きと働き続けることができる天職を見つるべきです。
50代の転職市場価値は需要と供給バランスで成り立つ
当然のことですが、必要としながら該当する人材が少なければ、好待遇でも採用しようとバイアスがかかりますし、募集をすれば低い賃金でも採用できる場合は、転職市場価値は下がります。
転職においてミスマッチが起きる最大の原因が「職種ごとに異なる機需要と供給のバランス」にあると言えます。
つまり、転職者が「どの職種」で探すか絞った時点で、転職成功の難易度が確定することになります。
これを需要と供給のバランスや、仕事の性質で分けると、大きく4つに分類にすることができます。
一般プレイヤー
代表的な職種:倉庫作業員、販売員、警備員、ドライバー、介護職員
パート・アルバイトも含め、最も求人数が多い。
業務パターンがシンプルで、基本的に誰でもできる仕事が多い。
業務が生み出す利益は低く、それに連動して給与水準も比較的低い。
コントラクトプレイヤー
代表的な職種:住宅の営業、金融サービスの営業
個人レベルで売上げる成果が重要視される、高付加価値的な職業。
一般的に固定給の比率が低く、成果報酬比率が高い。
高いノルマを課されることが多いため求人需要がありながらも、希望者が少なく常に人手不足
ゼネラリスト
代表的な職種:総務、人事、広報、宣伝、課長職
最も求職者数が多く、転職難易度が高いのがここ。
年齢が上がるほど求人需要が激減するので、転職に失敗して止む無くプレイヤー域に行ってしまう人も多い。
私も常にここの住人。
エグゼクティブ
代表的な職種:経営者、CFO、経営コンサルタント
場合によっては、年収2000万円クラスの求人が存在するのがこの領域。
ごく一部の40代しか関わることができない、超高付加価値の領域。転職サイトや転職エージェント経由よりも、ヘッドハンティングされる確率が多いのもこの領域の特徴
50代未経験者でチャンスがある職種は警備介護ドライバー
40代未経験でもチャンスがある職種は、一般プレイヤー(倉庫作業員、販売員、警備員、ドライバー、介護職員)あるいは、コントラクトプレイヤー(住宅の営業、金融サービスの営業)にあたります。
特に、警備員、ドライバー、介護職員は慢性的な人手不足が起こっている職種です。
また、不動産の営業職は、ハイリスクハイリターンで高いノルマを課されると一般的に言われているイメージですが、当たれば1,000万円、2,000万円と短期間で昇給できる職種でもあります。
ゼネラリスト(総務、人事、広報、宣伝、課長職)は、未経験で受け入れてくれる企業は、皆無だと考えてください。
資格スクールでは「資格を取れば就職に有利」と宣伝しますが、この領域には一切通用しませんから注意が必要です。
50代未経験者でもチャンスがある業界は建設運輸介護
40代向けの求人案件が、盛り上がりを見せていますが、分析してみると40代向けの求人が多い業界とそうでない業界があることに気付きます。
転職を真摯に考えるのなら、どういった業界が40代向けに求人を出しているのか考える必要があります。
第1位:建設業
建設業は、2020年の東京オリンピックに向け、関連施設の建設ラッシュが日本全国で始まっています。
それゆえ建設業は、これから先、成長と需要といった観点で最もオススメな業界のひとつです。
オリンピックが終わったからといって建設案件が減少していくことは考えにくく、定年退職者の流出が止まらず、人材の需要はこれからもどんどん増えていくと考えられます。
第2位:運輸業
運輸業も、ドライバーの人材難が深刻な業界のひとつです。
タクシー運転手やトラック運転手、バスの運転手が代表。
ドライバーは3K職場の代表格と言われており、荷主からのしわ寄せをモロに受ける職種ですので、なり手がおらず、他の職種への人材の流出が止まりません。
しかし、40代から運転手にキャリアチェンジするのであれば決して遅くなく、むしろ30代前半で運転手にキャリアチェンジする人の割合の方が少ないと言えます。
自分は運転するのが何よりも好きな40代にとって、「ドライバー職は天職だ」と口を揃えて言っています。
第3位:介護業
介護業界も慢性的な人材不足に悩む業界のひとつです。
これからの介護業界では「2025年問題」が課題となっています。
「2025年問題」とは団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されている問題です。
2025年問題に備えるため、地方自治体だけでなく、介護業界全体で人材の確保が急務とされています。
慢性的な人材不足を解消するために、外国人介護士の誘致を行うだけでなく、介護ロボットの導入を本気で考えている業界なんです。
50代の転職支援をしている管理人からアドバイス
50代はリア充で転職する気がなくても、もしもの場合に備え転職サイトに登録して、自分の相場を把握しておくべきです。
気になる求人情報を把握しておくだけでも、転職の選択肢が増えストレスや疲労が限界に達して倒れる寸前に転職の次の一手が打てるようになります。
基本的に、転職サイトは登録無料ですし、あなた自身の希望条件に近いオススメ求人や、あなたの職歴とマッチした新規求人がメールで届くシステムです。
転職サイトに登録しても、ウザい勧誘が来るだけで、そのほかは最新の業界情報くれるんだから得にしかならない!!
性格診断や自己分析ツールなども充実しているため使わない手はありませんよ!さらに、職務履歴を登録しておけば、思わぬ大企業からスカウトメールが来ることもあります。
ハローワークの窓口や転職エージェントに「市場価値がない」と辛辣なコメントを受けても、客観的な市場価値を把握していればショックを受けることもありませんしね。
MIIDASの想定オファー年収診断は当たると好評ですし、完全放置プレーで面接確約オファーしか来ない神サイト!!
50代の転職に失敗する人の特徴は市場価値を調べない
最後に要点をまとめておきます。
- 2007年に雇用対策法案が施行されたが、それは建前上のお話
- 35歳・40代前半・40代後半・50代の5年ごとに、転職しにくくなる壁が待っている
- 転職回数が多くても、転職できる人の特徴
企業の利益が理解できる
自分の市場価値を知っている
ブライドを捨てられる - 年齢を過剰なほど重視する日本固有の雇用体制
- 倉庫作業員や、警備員、介護職などのプレイヤーなら割と簡単に転職可能
- 未経験でもチャンスがある業界
建設業・運輸業・介護業
選ぶ業界と職種を間違わなければ、割と40代でも転職されていきますよ。
最初から、業界と職種を絞り込まないことがキモですね。
転職支援をしている斎藤でした。