結果的に、私自身20代と30代でそれぞれ2回、40代に入ってからは不本意ながらリストラされたことにより更に1回転職するハメに陥りました。

正直、転職回数が5回を超えることなど新卒時には想像だにしていませんでしたし、現在においても5回を超える転職履歴は消すことのできない私の黒歴史となってしまいました。終身雇用が当たり前だった両親にとって私は、レールから外れたバカ息子だったのだろう。

その都度「 3年も続かないお前に会社の何がわかると言うんだ 」ということばを言われ続けてきました。確かに3年も経たずに仕事を投げ出してしまっていた20代30代の私は未熟者だっただろうし、反省もしています。しかし、果たしてこの「 最低でも3年は勤めるべし 」という問いは正しいのだろうかと、ずっと思い悩んでいたところ、この書籍を読むことによって、やっとその答えが見いだせたような気がしています。

日本で一番AI人事が進んだ会社の人事が明かす「 3年は嘘 」

「 石の上にも三年ってありますよね? 」

目の前の男性はそう、こう続けました。

「 今なら確信もって言えますが、あれね、データで見ると【 100%嘘 】ですよ 」

私は驚きました。なぜなら、この発言をしたのは、日本で最も人事におけるAIの活用が進んだ会社の方だったから。その方によれば、個人が適正の乏しいフィールドで三年耐え忍んだからといって、そのことを理由にパフォーマンスが上がることはほぼないそうです。私は普段、人材マーケットを客観的に見る立場にいますが、その中でたしかに感じることがあります。

それは「 年数や年齢だけを理由に、他人がキャリアの幅を狭めることほど、悲しいことはない 」ということです。言い換えれば、本質的に、年齢や年数のせいで「挑戦できない」という理屈が成り立つのはミリオンダラーベイビー的な肉体労働ぐらいではないか、と思うのです。それ以外は、はっきり言って思い込みです。その典型例がどんな仕事場でも最低3年は頑張り続けなければならない、という「 石の上にも三年 」説です。

野球を10年続ければ大谷になれるのか?

「 何年間その仕事をしてきたか 」ということは、人が思っているより重要ではないことが多い。分かりやすい例でいうとスポーツです。

早い段階でスポーツの世界で活躍する人は、たしかに若い頃から長年1つのスポーツを続けていることがあります。たとえば、幼稚園や小学校の頃から10年近く同じスポーツをやっているというのはザラです。一方で、誰でも10年野球を続ければ大谷翔平になれるか? というと、まったくそんなことはないのは自明です。

同様に、ビジネスの世界でも、10年同じ仕事を続けていても、その領域で一流と呼ばれる人もいますが、反対に中々芽が出ない人もいます。

これはシンプルな話で、年数と成果は緩やかな相関はあったとしても「 年数が長い=価値がある 」ということはまったくない、ということです。冒頭に出てきた人事の方は、実際にそれをデータによって検証しているわけです。そんな彼はこう続けました。「 石の上にも三年より、大事なことは、どの場所を選ぶか。つまり相性です 」

と。同意です。私が普段言う言葉で表現するとしたら「 石の上にも三年よりはるかに大事なのは、どの石を選ぶか 」です。

場所は変えていい。3年いたから成果が出たのではなく「 どこにいても成果が出た時代 」

「 いやいやいや 」

あなたはそう思うかもしれません。たしかに、現実はそう甘くはありません。

社会に出ると、特に今の40~50代の人の中には、若い人に対して「 根性がない 」という事を言ったりします。その世代は1つの会社に勤めることが美学のような考えを持ち、「 転職する人間=根性がなく、成果を出すことができなかった 」と解釈する人もいるのは事実です。

私自身も、新卒で入った日系の大企業や、外資の企業を比較的早いスピードで辞めています。そのため、たまに「 お前はまだ何もわかっていないのに、辞めるのか 」ということを言われました。

では、なぜ、こんなことが起きるのか。それは、人間の本質に紐付いています。人間の本質とは「 人は自分が経験してきた物事の延長線上でしか、新しいコトを理解できない 」ということです。今の若い人と、その親世代では「 経験してきたこと 」があまりに違います。

たとえば、高度経済成長期を生きてきた人は「 何をやってもうまくいく 」世界の中で生きてきたので、「 転職なんてする必要がない 」と考えます。あるいは、失われた20年を生きてきた人たちは、「 たとえ石の上だったとしても長く耐え忍ばなければならない。そうしたら、その先は見える 」と考えます。

一方で、今の若い人たちは違います。彼らはインターネットやテクノロジーの中で生きてきたため、「 この前まで良いと言われていたものも、変化して当然である 」と考えます。

この三者の「 生きてきた世界の違い 」こそが、実は「 石の上にも三年 」という概念を強引に他者に押し付ける張本人なのです。つまり、ある意味では意見の相違は「仕方ないこと」なのです。

キャリア論で「 年数 」だけを理由に説明する人は、全部無視

では、「 石の上にも三年 」ではないとしたら、何が本質的なキーなのでしょうか。

あえて極端にいうとわたしは「 すべての問題は人員配置に帰着する 」と思っています。どれだけ努力したとしても、そもそもの「 組み合わせ 」を間違えていると、誰も幸せにならないということです。ましてや「 ( どんな )石の上にも三年 」なんてのは絶対に嘘だと思っています。

これは友人関係や、恋愛を例にして考えるとわかりやすいでしょう。たとえば、全然ウマの合わない友人と三年いて突然仲良くなる、あるいは、元々生理的に無理な異性と長年いっしょにいて急に好きになる。その可能性は、果たして高いのでしょうか?

これらの可能性がまったくゼロだとは思いません。ですが、元々「 相性のいい人 」に比べて、元々「 相性の悪い人 」を好きになったり、仲良くなったりする可能性が少ないのは明らかです。

仕事における相性とは「 何をするのか 」と「 誰とどう働くのか 」の2つの要素に、自分の能力や適性を掛け合わせたものです。「 誰と働くのか 」の一要素ですら、上記のように相性による影響は大きい。いわんや、全体における相性の影響度はとてつもないものになるのではないでしょうか。

実はこれはデータで見ても同じです。詳細は著書『 転職の思考法 』の中に書いていますが、実は日本は「 そもそもどの産業を選ぶのか 」によって一人当たりの生産性が約20倍も違います。つまり「 どこを選ぶのか 」によって明らかにあなたの市場での価値、より直接的に言えば給与の額は強く影響を受けるわけです。石の上に何年いようが、この20倍もの差を覆すのは至難の業です。

さて、そろそろ終わりにします。何が言いたいのか?あえて極端な結論を一言だけ言うとこうです。

キャリア論で「 年数 」だけを理由に、できないと説明する人は、全部無視すべき。そんな年数に関係なく、あなたが輝ける場所は他にもあるかもしれない、と。

本当に「 リアリティ 」のある転職本を届けたい

はじめまして。北野唯我と申します。

今回、初の著書『 このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法 』を出版しました。おかげさまですでにお読み頂いた方から、多くの感想を頂いています。

「 もしも約1年前にこの本に出会っていたら、私はいま、どんな会社にいたのだろう。ページをめくるたびにこれまで考えもしなかった声が私の中に出てきた 」( 20代、女性、メーカー )

「 物語形式だったので、主人公に共感できる描写が多く、“情報を見極める思考の軸”の大切さを、よりリアルに感じ取れた 」( 30代、男性、マスコミ )

転職を考えている人は必ず読むべき本だと言える。一方で、すでに転職をした人が読むと、後悔するかもしれない。自分の転職が正しかったのか、答え合わせができてしまうからだ。( 30代、男性、弁護士 )

本当にありがとうございます。

私は普段、ハイクラス向けの就職ポータルサイトを運営する会社で役員をしています。そこで、サイトの編集長としてコラム執筆や対談、企業現場の取材を行っています。また、自分自身が20代で二回、大企業からの転職を経験しています。これらの経験から、テレビに加え、日本経済新聞・プレジデントなどで「 職業人生の設計 」の専門家として多くのコメントを寄せてきました。

その際に、私が一番大切にしていることは
「 リアリティがあること 」です。

多くの転職に関する本は、一部の「 圧倒的な成功者 」や「 極論 」で埋め尽くされています。たとえば、「 好きなことだけやれ 」とか「 とりあえず、独立してみろ 」などです。

でも、本当にそうなのでしょうか? これは、本当にリアリティがあるのでしょうか? 私はそう思いません。というのも、自分自身が初めて転職したとき、もっと現実的なアドバイスが欲しかったからです。

私が初めて会社を辞めると決めたとき、正直、めちゃくちゃ迷いました。頭ではこうすべき! と思っていても、なかなか勇気が出ずに、寝れない日々が続きました。当時付き合っていた彼女にも弱音を吐いて、叱責されたりもしました。ダサいですよね。

でも、それが「 仕事選びのリアリティ 」ではないでしょうか?

仕事選びって本当は、キラキラしたカッコイイ部分だけではないはずです。

「 転職して給与が下がったらどうしよう 」

「 恋人やパートナーは反対するだろうか 」

「 お世話になった上司にどう言うべきか 」

そんなウジウジした気持ちを、まるっと含んだものだと思うのです。だったらその部分まで含んだ「 アドバイス 」が必要なはずです。

『転職の思考法』は物語形式で進みます。主人公である青野は、「 勝負の分かれ目 」ともいえる年齢を迎え、どうキャリアを形成していくべきかを真剣に悩んでいます。そんなある日、彼はふと立ち寄った本屋で雑誌を手に取りました。そこには
「 昇進ポテンシャルのなくなった、大企業のサラリーマンの悲惨な末路 」
が描かれていました。大企業でなんとなく20年生きてきた先輩たちが、自分の人生を挽回するためにもがき、消えていく姿です。青野は10年前なら「 笑って読み飛ばしていた 」でしょう。でも、今は違います。

「 自分はどうだろうか? 果たして、今の会社にいても大丈夫なのか? 」

そう思ってしまったのです。だって、自分には、特別な専門性もない。大きな組織を率いた経験もない。他者を圧倒するような才能もない、そう感じていたからです。つまり、この本は、どこかのスーパースターではなく、私たちのための本だと思うのです。私が転職をしようとしていたとき、「 もっと早く教えてほしかった 」「 こんな本があればいいのに 」というすべての知識を詰め込みました。まさに「 あのとき、本当に読みたかった 」リアリティのある本です。

今は、二人に一人が「 人生で一度は転職する時代 」と言われます。ずっと先回しにしてきた「 あなたの職業人生の設計 」について、これを機会に、しっかり、見つめる機会を持ちませんか?

この本を通じて、少しでもモヤモヤが吹っきれたとしたら、これ以上に幸せなことはありません。

——以下は実際に読まれた方の感想です——

「 あまりの読みやすさと面白さで、すぐ読破してしまいました 」( 20代、男性、メーカー )

「 上司ではなくマーケットを見て働くとはまさにだと思いました! 小説形式だからとても読みやすかったです 」( 30代、3児の母、人材ベンチャー勤務 )

「 一気に読みました!!めっっちゃ面白かったです!転職の思考法ではあるものの、全てのビジネスマンが身につけておくべき思考法なので、それこそ『 夢をかなえるゾウ 』みたいに沢山の人に届けるべき本だと改めて思いました 」( 30代、男性、士業 )

「 これは、転職する人だけではなく、転職した人も、これから社会に出る若者にも読んで欲しい、トリセツ本です。企業という組織の体勢、出世構造、マーケットバリューのつくりかた1つ1つが構造化されて、文系脳でも手に取るように分かりやすく説明されてます 」( 20代、女性、メーカー )

2018年7月18日 DIAMOND ONLINEより引用

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