日本における協同組合ナショナル・センターとでも言うべき一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA)が4月1日に創設された。JA全中や日本生協連、JF全漁連、JForest全森連、ワーカーズコープ、全国大学生協連、医療福祉生協連など17団体が「JCAの旗」の下に集結。連帯意識を共有し「人びとの未来に責任を負う」(レイドロー報告)目標を掲げたことに敬意を表したい。

持続可能な発展

21世紀における日本の協同組合運動の持続可能な発展は、何よりもこのような「連帯意識の共有」によってはじめて可能になると思う。

「連帯意識の共有」に関して私は、1980年の国際協同組合同盟(ICA)モスクワ大会で採択されたレイドロー報告が市場原理至上主義を批判して20世紀末の時代を「狂気の時代」と呼び、そのような状況のただ中にあってこそ協同組合は「正気の島」でなければならない、と論じたことを今更ながら思い出す。

すなわち、協同組合は「正気の島」として真にその経済・社会的な役割を果たすために、「非営利・協同」を基礎とする事業を通じて「新たな形式と秩序」を創り出す諸条件を再生産しなければならない。

私たちはまた協同組合による経済・社会的役割の実践的プロセスを「協同組合運動」と呼ぶことを理解した。換言すれば、協同組合の事業と運動の持続可能な発展は、協同組合人相互の「連帯意識の共有」によってはじめて可能となることをレイドロー報告から学んだのである。

私事で申し訳ないが、私は先般、1776年の米独立革命を苦労の末に勝利に導いたトマス・ペインの手によるパンフレットの表題「コモン・センス」をいただいた拙著『協同組合のコモン・センス』を出版した。なぜ「コモン・センス」なのか。それは、コモン・センスは「単なる専門的な知識でも、単に誰もが知っている知識でもない」のであって、「誰もが共有する意識」や「健全でかつ実際的な判断力」を意味しているからである。

生活世界の協同

拙著を通して伝えたかったことは、協同組合の「事業と運動」は、生活世界において誰もが共有し得る意識の対象であり、また健全でかつ実際的な判断力の対象でもあるということだ。別言すれば、私たちはお互いに協力し協同することによって生活を営んでいるのだという「人間の本来的な関係」を自覚し、物質的資源を公正に配分し、文化的資源をより良く生かす社会的枠組みを創り出し、共有し、維持していくことで安定した生活が可能となるのだということを明確に意識しなければならないのである。

私は、JCAがコモン・センスと「自治・権利・責任・参加」を基礎とするシチズンシップ(市民のステータス)の理念に導かれて「連帯意識の共有」を確かなものにしてくれることを期待するものである。

2018年5月22日 日本農業新聞より引用

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